アドビが生み出す新しいWebツール
高まるCSSの表現力と短縮される作業時間
2012年9月8日、「Web技術者たちの祭典」というスローガンを掲げた「HTML5 Conference 2012」が開催された。
その名の通り技術者向けのセッションが目立つ中、ノンプログラマーにとっても興味深い、「更に進化するCSSの表現力と新しいWebツール」というセッションがアドビシステムズ株式会社の轟啓介氏より提供された。
このセッションでは、アドビが研究・開発を行なっている、最新のWebツールに関する解説が行われた。
現在のアドビは、W3Cが提唱する標準規格を強く推進する立場だ。標準に準拠したツール類を数多く手がけるだけではなく、自らも標準策定に深く関わっている。
そうした取り組みの一端は、先日日本語訳バージョンが公開されたばかりの「Adobe&HTML」というサイトで紹介されている。
例えばCSS Regionsは、雑誌のようなレイアウトをシンプルなCSSで表現する事ができる。
また、CSS Exclusionsを使用すると、自由なレイアウトに沿ってテキストを流し込むこともできる。
アドビのWebに対する取り組みは、ビジュアルな部分に関するものが目立つが、決してそれだけではない。
「Adobe Shadow」は、デザイナーだけではなくWebページのデバックに関わる人々全てに恩恵をもたらすツールであるといえる。
「Adobe Shadow」はApple iOS/Google AndroidデバイスとPCをワイヤレスで接続し、コンテンツ表示を同期して閲覧できるツールだ。手元のWebページを複数の端末で確認する、というフローを容易にしてくれるため、Webページの検証時間を大幅に削減することができる。
また、デバイスをターゲット化して遠隔操作で検証を行ない、使い慣れた開発ツールでHTML、CSS、Javascriptを修正した後、リアルタイムでの表示も可能だ。
Web制作をよりクオリティ高く、より素早く行えることにフォーカスし、ツールを提供し続けるアドビシステムズの取り組みに、大きな期待を寄せているエンジニアも多いのではないだろうか。カンファレンス後に発表された「Adobe Edge Tools & Servicesも合わせて、今後のアドビにも引き続き注目していきたい。